個人釣具店廃業の理由と今後の課題
2005年ぐらいから個人釣具店がどんどんと廃業に追い込まれています。
それが2010年ぐらいになると、更に追い討ちを駆けるように加速しました。
その背景には、釣り人口の著しい減少が関与していることは疑うべき余地もありません。
バブリーだった1990年代の頃は、今振り返ると個人釣具店全盛の時代でもあったのです。
朝早くから有名な個人釣具店では、エサや釣小物を買う釣り人で盛況だったものです。
(私もここでよくエサを買いました!)
オリジナルの仕掛けを販売したり、釣具の量販店では買えない特殊なハリや釣具をも販売していましたし、釣り場の情報も良く提供して頂いたものです。
更には、釣具店の店主に「太かスズキば釣りたいっちゃけど、どこで、どげな釣り方したら、よかとね?」などと気軽に尋ねていると、常連と思しき釣り人が仕掛けの作り方から釣り方までを教えて下さったりもしたものです。^^;
ある意味釣り人の社交場でもあり、初心者にとってはベテランから釣り場やエサや釣り方を学ぶ釣り教室的な要素もあったのです。
各々の釣具店には近郊で釣れた大物のチヌやスズキなどの魚拓が所狭しと店頭や店内に貼られ、チヌのことなら●●さんに聞いてみんしゃい!と言われる釣り名人が少なからず存在していました。
実は私自身30歳ぐらいまで大きなチヌが全く釣れずに途方に暮れていたときに、当時あさひ丸と言う渡船に乗って博多湾の沖防に連れて行って下さり、手取り足取り教えて下さるような釣り人もおられたのです。
そのような方との出会いも、個人釣具ならではのことだったような気が致します。
懇意にして下さった個人釣具店の店主からは、量販店で購入した方が安いと知っていながらも竿やリールもお付き合いで購入していましたが、次々と廃業することを聞かされたときは、本当にショックでした。(涙)
個人釣具廃業の理由は、釣り人口が減少する理由と重なる部分が多いのですが、それ以外の一番の要因は他にあったのです。
それは周知の通りネット社会の到来でした。
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ネット社会が加速するにつけて個人釣具店が必要なくなった!?
1990年代の半ばまでは、携帯電話も普及しておらず、今のように個人がパソコンやスマホで情報を簡単に見られて、メールを送ったり、ラインをしたり、はたまたインターネット上に情報発信をすることなど夢にも思っていませんでした。
個人に携帯電話やパソコンやスマホが普及するスピードは思っていたよりも早く、会社などでも電話連絡がメールで簡単に出来るようにもなり、テレビ会議なども当たり前の時代にもなりました。
「インターネットでモノが買える」ということは、今では当たり前のことなのですが、25年前にはほとんどの方がそのようなことを予見していませんでした。
ところが、アマゾンや楽天市場、ヤフーショッピングやヤフオク・・・などの物販サイトでリアルに欲しい商品が簡単に入手出来ることを知ると、ネットショッピングでモノを購入することが当たり前の時代にもなりました。
価格.comなどの価格比較サイトもありますし、購入者のレビュー記事などを詠んで購入のきっかけとする方は多いはずです。
釣具について考えてみますと、個人釣具店で購入するケースとネットで購入するケースとでは、どちらが安いのかはお分かりいただけると思います。
例えば、ダイワやシマノのリールが欲しいと思っている方やがまかつの磯竿が欲しいと思っている方が個人店でそれらを購入する機会は、ほとんどなくなりました。
第一、個人店の品揃えは推して知るべし・・です。
品物がない上に、よしんばあっても高いとなれば、誰も購入しません。
周知の通り、ネット販売店の多くはリアル店舗に比べますと、人件費や家賃や電気代・・・等々の販売管理費のほとんどが不要なために、在庫を持たずに注文を受けたら製造元に発送を委託するだけで商売になるために低価格を実現できるのです。
その結果個人釣具店では、主力の竿やリールが売れなくなったことは容易に想像できるはずです。
個人釣具店は、エサと急を要する買い忘れた釣り小物を買う所以外の需要がなくなったと言えます。
しかも、追い討ちをかけるようにエギングやソルトルアーなどの分野が流行ることで、エサすらも要らなくなり、その結果多くの釣り人が個人釣具店に足を運ぶこともなくなったのです。^^;
おかげで、早朝から釣りに行く予定を立てている釣り人は、エサがその日の早朝に買えないと言う現実が起きています。(涙)
福岡市内では、朝早くからエサを換える個人釣具店は極々限られています。
博多区、中央区、南区、城南区では私が知る限り皆無です。(涙)
東区と、早良区と西区に数軒あるだけで、博多区の釣り人が須崎埠頭や箱崎埠頭で釣りをする際に早朝から釣りエサを買いに行くのに東区や西区までクルマを飛ばしてまでエサを買いに行くと言うことは、たまにはあってもほとんどないと思います。
これらのことも釣り人減少に拍車をかけている様な気がします。
個人釣具店の今後の課題
エギングやルアーフィッシングが盛んになるにつれて活きエサを取り扱う店も少なくなり、管理の面を考慮し過ぎるあまりに活きエサの種類もありきたりなモノばかりです。
アオムシ、岩デコ、岩ガニ、輸入モノのイワムシ・・・ぐらいです。
これらのありきたりな釣りエサに関しては、自販機でもOK!なのではないでしょうか?
以前箱崎にあった釣具店にはアオムシ、岩デコ、イワムシの自販機があり、真夜中だろうと早朝だろうと買えるし、3種類を少しずつ買えることで個人的には重宝していました。
GWを過ぎる頃から水温の管理が難しいためにモエビすらも置きません。
地物のイワムシ、海エビやコウジ、ボケジャコ、ヒラヒラ、巣ムシ(フクロイソメ)、活きカナギなどがあれば買う釣り人も少なくないと思います。
確かに値の張るロッドやリールを売らねば経営が成り立たないのであれば、ネット上に販売サイトを作るべきです。
しかも、どこもが取り扱うような知れたるブランドではなく、海外の日本未発売だとか日本未入荷のレアなロッドやリール、ルアーを取り扱うべきです。
個人でもebayや海外のアマゾンに出品している業者に、お客さんから注文があってから商品を取り寄せることをしている方がいます。
更に、HPは欠かせませんし、釣り場情報や釣れる魚情報をリアルタイムに発信し続けることが重要です。
そういう情報をいかに多く発信してお店に来店してくださるかを、一工夫も二工夫もしないとネット販売店や釣具の量販店には太刀打ちできません。^^;
地域の釣り人とのふれあいを大切にするためには、個人釣具店のオーナーが釣りが好きでないと出来ない商売です。
呼子に釣りに行かれたことがある方はご存知だと思いますが、ある釣具店はコンビニを併設し、女性のアルバイターやパートタイマーなどにも釣りの仕掛けや釣り方などを教えることで差別化をはかっています。
個人的には個人釣具店が釣り教室や釣り大会を催したりすることで活路が見えるのではないかと思います。
更には、ご近所にも腕利きの釣りの達人だったお爺ちゃんが少なからずいるはずですから、そういう方に指南役になっていただける場を提供すれば、釣りと言う趣味を通じて人間関係も構築できますし、老人が活躍できるきっかけにもなるのでは?とも思います。
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